2020

07.21

四行・ファンタジー小説(おとぎばなし)





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その赤いドアはひっそりと、路地の片隅に隠れている。
旅に出る時に持つのは擦り切れたコートと思い出の詰まった鞄。
右足の次に出すのは必ず左足。間違えないように。
ゴールはきっと大好きな人の腕の中。


さあ!入り口を潜るんだ。そしてミッションをクリアする。
ミッションってなあに?カトリックの学校を卒業するってこと?
違うよ。とにかく冒険をして、ドラゴンと戦うんだ。
私、ドラゴンが二本足で炎を吹かないのなら絶対行かないから。


山道の小さなお地蔵さんに挨拶をしないと道に迷う。
帰り道が見つかるのは七日後。
向かえてくれる知人は、七歳年を取ってる。
私は、教訓で少し賢くなってはずなのに、やっぱり転ぶ。


旧家に嫁いだ姉の嫁ぎ先の家には何故か廊下に箪笥が三竿。
洋服箪笥を開けると階段があって、中二階の隠し部屋にいける。
けれど、他の箪笥の引き出しを開けると姉に大変叱られる。
そこに住んでる小人が、ぞろぞろ出てきてしまうからだ。


おばあちゃんの家には蔵があってひんやりと冷たい。
そこで黒い塗箱の中に隠れてる羽のある小さな妖精を見つけた。
妖精は歌を歌ったり踊ったりして私の寂しさを埋めてくれた。
失いたくなくて持って返って冷蔵庫の中にしまってある。


いつも通ってた道を右に曲がったら森だった。
遠くに城が見えるし、花の上で妖精が踊っている。
「王子様が白い馬で走ってくるはず」と、思って待っていた。
やってきたのは黒いうさぎで、真っ直ぐ帰る道を教えられた。


 おとぎばなしはなぜこんなに怖いんでしょうか。多分、西洋も東洋も同じように怖いです。子供に話して聞かせる教訓で、真実をうがったはなしだったからかもしれません。また、集めた人が怖いはなしを集めるのが好きだったのかもしれないですよね。こんなはなしは、外が真っ暗な月の無い夜に、心細く思う人達が火の側に集って語り継がれたのかもしれません。
 子供の頃よく見た夢があります。
 それは、遠くからいくつもの灯りが連なって近づいてくる夢です。私が住んでいた家は山の尾根のこちら側にあり、友達の家はあちら側にありました。その友達の家の方を夜中に見ると、家々の明りが消えてしまっていて、山なので外灯も何もなくまっくらなのです。その山道を連なった灯りが降りて来ます。下まで降りたら、私の住んでいる山へと登る道へ出会い、今度はその明りはその山道を登ってくるのだという確信がありました。私は、必死で雨戸を閉めようとするのですが、なぜか、雨戸が引っかかってうまく閉まらないのです。私はそれを狐の嫁入りだと思っています。灯りが家の前まで来たら、私は囚われて籠に押し込められてさらわれてしまうのです。だから、怖くて怖くて、無我夢中で雨戸を閉めようとしています。
 地理上のイメージが解りにくくてすみません。まあ、大人になって思い返してみると、夢なのでいまいち辻褄も合わず、なぜ、雨戸を閉めたらさらわれないと思うのかもいまいち分らないのですが。(笑)
 ファンタジーはおとぎばなしほどは怖くないはずです。扉を開けて旅立つ冒険小説なのですから。けれど、もし、ほんとうにタンスの奥に異世界があったら・・・・・・やっぱり、そこから何が出てくるのか考えれば、夜も眠れないほどに怖いかもしれません。ほんとに、意気地のないS女ですね。


★さて、夏の暑い日こそ寒い動画をどうぞ。涼めるかもしれません。



 
Category: 物語
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