2015
一寸試し

それはやっぱり試してみる他ないと思わなんだか?
それともつらつらと起きうることを並べては
橋を叩いて壊すことに算段していたほうがいいと?
どっちにするか迷っては・・・
どっちをも選ばないでいられるはずだと思い込み
じーっとその身を闇に潜めて息を詰めていても
最後は 息苦しさに 締め付けられて 叫んでは逃げ出す事になる
だったら、一番最初に何も選ばず
なにも受け取らずに散った方がいい
では はじめよう
よく砥いだ小刀と板の切れ端を用意して
左の小指から順繰りに
そうして木のコブのようになった自分の手を
じっと眺めてから ああ と 涙をこぼしてみる
出刃包丁は用意したのかい?
いくらなんでもその小刀では 無謀すぎるというものだから
大きなまな板と それから腰紐を一本
そんな面倒な事 今までしたことなかった
振りかぶり 振り下ろす
悲鳴は、耳の奥の巻いている白い貝殻をこなごなに砕く
ああ ああ ああ ああ
そこで夢から覚めるのが いつもの常のことなのだから
そのまま悪夢の中へ ささ もっとずっと奥へ
痛いのは 返ってくるこだまの
重なりのようなものじゃありませんかね
最初よりも だんだんと 遠く
自分の事さえも 思い出せずに
それでも 確実に 近づいてくる
そして 遠ざかる
粉々に割った橋と 白い貝殻と
そして転がり落ちた先にあった窓ガラスと
机の上に残された手首は 多分
朝になれば 消えていますって
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