2011

03.21

女王様ゲーム


女王様ゲーム
悦の森文庫
作者 越後屋


 人里離れた館に、ある日突然七人の女王様が集められた。館の主は、七人にゲームの開始を宣言する。それはお互いを調 教し、Mの誓いを立てさせるルール無用のデス・マッチ。勝者には巨万の富が与えられ、敗者は屈辱的な仕打ちを受けるゲームであった。縄、鞭、快楽責めに窒息責め!女同士の容赦のない責めに、女王様たちは被虐の悦びに目覚めていく。そして最後の一人が残った時、このゲームに隠された真の目的が明らかになり―。



「志保。鞭を貸しな。私があんたに、これの使い方のお手本を見せてやるよ」
 そして、あかねは、葵の背中を一本鞭で打った。軽く振っているように見えて、空を切る音は志保のそれよりもずっと鋭い。
 ビジィィッ!
「ぎ、ぎゃあああっ!」
 葵の悲鳴も、一段と甲高く、凄まじい。葵は○束されたまま、匍匐前進で少しでもあかねから離れようとでもするように、m前に逃げていく。
 その葵の脚を、あかねのピン・ヒールがギュッ、と踏みつける。
「あっ、ああああああっ!」
「どこに逃げようってんだい、往生際が悪い」
「か、堪忍してください、お願いします」
「まだ、鞭を一発入れただけじゃあないか、こらえ性のない子だねえ」
 紅蓮花あかねだけではない、高坂龍、竜造寺沙耶、北条凛の三人も、葵を取り囲むようにして集まり、彼女の事を見下ろしていた。
 そんなベテランS女の様子を、葵は恐怖で引き攣った顔つきで見上げていた。
「それじゃあ、十連発行くよ。」
「い、いやっ!いやぁ!」
「いいね、葵。自分でちゃんと数を数えるんだよ」
「い、いやです。そんなこと、したくありません!」
「したくなけりゃあいいよ。それならあんたが数え始めるまで、何十発でも打ち続けるだけだ」
 葵の表情が引き攣る。日頃のあかねの言動をいやと言うほど知っているあかねは、あかねの言葉が単なる脅しでない事を知っていた。
「あくまでも意地を張り続けるのか、それとも私の言う事を聞くのか。どちらを選ぶもあんたの自由さ。それ、いくよっ!」
 ビシィィッ!
「ぐふうぅぅっ!い、いちぃっ!」


 集められた7人の女王様が、次々と同じ女王様に責め落とされて行くお話です。一冊の本に6人の女王様が負けていく話しを綴らないといけないので、大忙しです。その分いつもの越後屋さんのねっちりした責めの文章からすると、ちょっと物足りない感じも否めませんが・・・・。
 ただ、その責めの多彩さや、その方法、技術など、よく取材されています。7人の女王様の性格やタイプの違いによって、繰り出される技も違います。
 そして屈服する時の1人1人の心情も違います。これがなかなか面白かった。責め落とされていやいや泣きながらも逝ってしまい泣きながらマゾであると認める女王様、尊敬する女王様に逆らえずに心酔して行く女王様、恐怖に閉めあげられて反抗する気力も奪われ言うがままになる女王様。なにしろ最後にひとり残るとは言っても6パターンも描かないといけないので大変です。
 ちょっとしたオムニパス小説のよう。

 私が、残念に思ったのは、最後に残った女王様があまりにもあっけなく、陥落してしまった事。これ前、後篇にして、ここから、嫌がる女王様をもう一回じっくりねっちりやって欲しかったです。(。・_・。)




Category: 読書が好き
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