2011
風俗資料館に行って来ました

その場所は、駅前から歩いてほんのちょっと・・・都会の喧騒の中にひっそりと隠れているのです。人とは違った物が好き。誰にも言えないで、胸に秘めてに隠し持っていたい秘密を、反芻し、心の中で育てて膨らませるための場所。静かに、誰にも邪魔されず、落ち着いて物語や画像にひたれる場所。
風俗資料館は、そんな場所です。
何の変哲もないビルの5階の、ガラスの扉をくぐりぬけると・・・

昭和20年代創刊の「奇譚クラブ」「風俗草紙」「風俗科学」から「風俗奇譚」「裏窓」や、現在出ている各種SM雑誌まで、ほぼ全号揃っている、資料館がそこにあるのです。
ここは、日本で唯一のSM・フェティシズム専門図書館です。
二度と手に入らないような、古く貴重な雑誌が多いので、基本的には、会員制です。1回だけのビジター利用や、女性だけの夜が水曜日に設定されているので、最初はそれを利用してもいいと思います。
1万7千冊と言う、あまりに膨大な雑誌の数なので、とても、一日では読み切れるものではありません。それどころかどこから手をつけていいのかさっぱり分からない(^▽^;)

風俗資料館へのお招きを、お世話になった方から受けた私は、とにかく、がんばるぞー!とか、思いながら・・・いつお訪ねするか、館長さんに、メールなどを送ったりしておりました。
館長さんは、中原るつさんと、おっしゃられます。
メールをやりとりしてるのに、私は完全なる思い込みで男性の年輩の方を思い描いていたんです。それが、間違ってる事に気がついたのは、ネットで、少しでも、風俗資料館について調べてから行こうとしてあちこちをめくっていた時でした。
女性!しかも若ーーーいヾ(@⌒▽⌒@)ノ
前回冬縛の時にも、目標を立てて行ったディズニーランド方式を覚えてらっしゃますでしょうか。今回もその方式で行こうと思った私は、「1、館長の中原さんとおしゃべりする。2、奇譚クラブを何冊か読む。3、珍しいものを探す。」の三本立てで臨むことにいたしました。
と、言う訳で仕事中である館長さんに無理を言って、ねほーり、はほーり・・してまいりました。
私がかねてから考えておりましたのは、SMには、する人、される人、そして見る人読む人がいるって事です。この見る人読む人が、ある日、何かのきっかけで実体験する日が来るのですが、一生一度も行動する事がなくても、読んだり、思ったり、見たりするだけであっても、それがないと生きていけないほどに始終考えているのであれば、やっぱりお仲間なのではないか・・・と、思っておりました。
そして、ちょっと残念なのは、最近のする人、される人は、見る事読む事には、あまりこだわりがないのです。じゃあ、私、どこへ行ってあーでもないこーでもないの会話すればいいの(;;)(ヲイ・・・それって自己中じゃ・・)
その私のアンテナがピピピピピ・・・!と、反応しましたっ!きっと中原さんとお話しすれば楽しいに違いないっ!
めっちゃ楽しかった。(。・_・。)
一番盛り上がったのはSMは、セックスの前戯ではない。むしろ小説やAVや画像で表現する時にセックスが出てくると、残念な気持ちになってしまう、って事。
また、いくらSMと言っても、お互いの同意の元に行われる以上、本心から嫌がって抵抗しているのを押し伏せて・・と、言う事はできない。それが出来るのはフィクションの中だけ・・。心の中、表現の中だけに成立する世界が決して現実に劣っていると云うものではないと言う事。などなど・・・ありゃん、こんなに楽しくおしゃべりしていると、資料を見る事なく終わってしまうじゃないか。(笑)(すみません。館長さん、お仕事のお邪魔して)

さて、問題の「奇譚クラブ」なのですが、私は昔の雑誌とかについては全く無知でありまして(^▽^;)詳しい事はリンク先でどうぞお調べください。。。
で、第2目標を「奇譚クラブ」にしましたのは、なぜ、今現在多く出回っている小説と、昔の小説を読んでる時に、なんか違う・・・と、感じるのか知りたかったのです。
子供の頃、大人の目を盗んで、本屋でこっそりと立ち読みしてた時代のように、どきどきする感覚。インターネットでは、絶対に味わえないいけない事をしてるような後ろめたさ。淡々とした文章なのに、陰惨でおどろおどろしく、まがまがしい物を垣間見てしまったような戦慄。書いてある事は、同じような行為のはずなのに、なぜ、こうまでも構築される世界が違って来てしまうのか・・・。
・・・って、パラパラ、何冊か読んだだけじゃ分からないって(^▽^;)
しかし、おもしろかった。絶対、あの話の続き読みたいです。。。
→昭和なつかし奇譚クラブ分譲写真




表紙が絵の時代のSM雑誌ってなんか情緒がありませんか?写真の場合も、今の画像とは明らかに違うのであります。こういう表紙を並べて見れるのも資料館のいい所です。ただし、元の場所が分からなくなったら、素直に、館長さんに聞きましょう。


でもってこの、他の雑誌は総合誌なのですが、○縛美研究会から出されていたこの本は、完全に○縛だけを取り扱った雑誌です。例会の後には濡木痴夢男先生が、手書きでぬれち新聞とか、書いてました。こう云うの今は、ここでしか読めないのかも・・・。緊美研については、復刻版のビデオとか出てるので、日を改めて書きますね。
さあ、こうやって、あっちの棚、こっちの棚と徘徊していた私ですが、閉館時間が近づいて来た時に、一番気になるのはどれだったかと言うと、それは、古い古い絵本のようなスクラップブックでした。
光栄にも「いや、こんなにたくさんの中から、よく、これを見つけましたね。私もこれ大好きです。」って、中原さんに言っていただきました。
真っ黒の台紙に丁寧に人型に切り抜かれたものが貼ってあります。多分、戦前の物か、その後の時代のもの・・・とにかく、まだ、容易にこういう物が手に入らなかった時代に、集められた挿絵だと思われます。好きで、好きで、好きで、たまらない。そんな気持ちが、1ページ1ページにこめられていて、身体が熱くなる。
こんな昔から、集めたり、並べたり、してた人がいたんだなぁ・・。媒体は違うけれど、気持ちは同じ。このブログも、そんな気持ちから始めたのでした。
また、一つ出会いをありがとう。風俗資料館の中原さん、いろいろとありがとうございました。また、必ず遊びにまいります。




※本日掲載した写真は、閉館前に偶然にも、利用されていた方がどなたもいらっしゃらなくなった時間に、無理を言って、特別に撮らせていただきました。基本的に、秘密の隠れ屋のような静かな場所なので、転載はご遠慮くださいますようにお願い申し上げます。
