2008
ね・ネット調 教10
膝がしらが震え、勝手に閉じようとする。それを引き戻し、姿勢を保とうと力を込めては、はっと我に帰ると事の繰り返しだった。
開こうとする力も、閉じようとする力も自分の物だった。心の底から、恥ずかしさの余り脚をつぼめたいと願う想いも・・・。連さんに応えてすべてをさらけ出したいという想いも・・・。淫らに、足を開く女に落ちていきたいと思う願いも・・・。慎ましく咲き初める蕾でいたいと願うのも。全部、私だった。
「左足の踵を椅子の上に乗せなさい。膝をひきつけるようにして」
ああ・・・。
お尻を基点に椅子の背もたれに身体を預けて、命じられた姿勢を取ろうとする。
膝がしらが震え、内腿の筋肉が攣りそうになる。目を閉じて、何も考えず、踵を引き寄せる。もう見せてしまってるのだもの。それも、k右足の踵を机の上に乗せたあからさまな姿勢で。今更、違いはないはず・・・。何度も何度も、自分自身に言い聞かせ続ける。
「目を閉じるな。」
椅子の座面に持ちあげられていた左足は、その言葉にびくんと撥ねて、また床に落ちてしまった。全身に熱が回り、かあっと火照る。汗が噴き上がる。脚を椅子の上に持ち上げM字に開く。ただ、それだけ。たったそれだけだ。それが、こんなに自分をうろたえさせるとは、そう、自分が恥ずかしさに、震えている事が、その事が尚更、感情を高ぶらせているのだった。
おずおずと、瞼を開けて、カメラが動いているしるしの赤い光点を凝視した。あの向こうに、蓮さんがいる。そして、私が恥ずかしさに震えているのを見つめている。その前で私は欲望をさらけ出す。
じわっと蜜が沸き上がり、滴る感覚がした。晒しあげられた性器はそれ自体が独立した生き物のようにぷっくりと膨れ上がり、ぬめぬめと伸縮を繰り返して、男を誘おうとしている。自分の意志とは無関係に、浅ましい蠕動をひけらかし、喜びをむさぼろうとして。
思わず、吐息が漏れた。桃色に、周囲に靄が広がり、私の脳を埋め尽くす。目を見開いて、赤い光を見つめながら、私は、またそろそろと膝を持ち上げる。また、一からやり直し。最初の場所から、自分を励まして行かないと、脚を床から浮かす事さえ、困難だった。そして、脚を持ち上げようとすると、しぼりあげられるような胸苦しさとともに、下半身に、快感のうねりが広がった。
これは、なんなのかしら。
私を襲うこの、快感は?
脚を動かした事で起こった刺激だ。
ただ、それだけで・・・・私は
昇り詰めようとしていた。
「いっていいとは言ってないぞ。」
コロロン。
私は、彼にに、身体の反応を見透かされた事に戦慄した。その瞬間、踵は椅子の上に着地し、鋭い、快感が身体を走り抜ける。
息を吸いこみ、歯を食いしばり、私は、自分を引き戻した。正気を保とうと、一層目を見開いて、赤い光を見つめる。ゆっくりと世界が狭まって、存在するのは、欲望に満ちた自分の身体が開いている半円とそれが収束するその赤い光の一点だけだった。
呼吸する度に、満ちてくる物がうねり、私を翻弄する。持ちあがり、それから、弧を描くようににゆっくりと落ちる。くりかえし、くりかえし・・・。私という器の中に、いっぱいになる。皮膚が薄く薄く伸びて、パンパンに張り詰め、わずかでも刺激を与えると、弾けそうだった。
続く…
