2008
ね・ネット調 教・5
脱ぐ・・・
昨日までと同じ自分の部屋。カメラが動いている証拠に、赤い光点がついている。ただそれだけ・・・・。でも、このカメラの向こうに誰かがいて、私が服を脱ぐのを見ている・・・・。それは、私が蓮さんと呼ぶ人。私にゆみかと呼びかける人。
肩をブラウスの布が滑り落ちる。意識すまいと思っていても、誰かの前で服を脱ぐ時のいつもの順番になり、スカートを降ろす時に、私はカメラに背を向けていた。
コロロン♪
メッセンジャーが、音を立てる。それは、蓮さんが何か言葉を送ってきた印。私は背を向けたままびくっと撥ね上がり、恐る恐る、PCの方を見た。何の文字も無い空白。ただ、蓮の発言という文字だけが送られてきていた。
そこに無言の叱責を見たような気がして私は震えあがった。喜んでもらえると思って、M女という言葉を口に出した時の、拒絶された感覚がよみがえる。
約束。
逆らう事は許されない約束。もう、動かしようがなく、そこから逃れるためには、PCを切るしかない。蓮さんとの関係を断つしかない。
動悸が跳ねあがり、身体中が熱くなる。ギュッと目を瞑って、うつむいたまま、私はPCへ向き直った。カメラに映るように、一歩前に出る。メッセンジャーの下の窓に、服を脱ぐ私の姿が映っている。
「助けて」
心の中で思わず言わずにはいられない。ネットの向こうで、見ている人にすがらずにはいられない。何か拠りどころが無ければ、こんな事は出来ない。服を脱ぎ、下着を取る。何も着ていない私を、あなたは見る。
恥ずかしさに、身体が熱く燃え、肌が赤くなっているのが分かった。ちりちりと、肌の上を蓮さんの「視線」が滑って行くような錯覚に、身震いする。汗が吹き出し、足の力が抜けてしゃがみこみたいくらいだった。
「蓮さん、見て。」
見てください。私を。何も纏わない私。何も繕わない私。私自身を・・・・。あなたの所へ、堕ちていく私を。
続く・・・
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