2008
鋏
足の甲に ハサミが ささった
ドンって、音がして辺りが真っ白になった
繋がっていた日常が途切れる
昨日の次は今日
今日の次は明日
ずっと、続いて行くはずなのに 何も見えなくなった
周りの世界が遠ざかって行く・・・・
あなたの姿が遠ざかって行く・・・・
見えるのは鋏の鈍い光だけ
足の甲で震える銀色の光だけ
感じなかった痛みが
ゆっくりとはいのぼり私を侵食する
お腹を 胸を 首を 頭を・・・・
何も考えられない
すべてがからっぽ
あなたを好きだった事も
手で握れるほどに確かだった愛なのに
今は・・・・
揺するとカラカラと外れたネジの音がする
鋏を抜いて訪ねて行こう
私の愛した人の所へ
血を混ぜ合わせて
陶酔に浸りたい
酔いしれてすべてを捨て去りたい
でも まず その前に
足の甲から「鋏」を抜かないと
ああ、この悲鳴を聞かないで
耳をふさいでて
決して 決して・・・・
私の声を聞かないで
