2008
お仕置き・59
琴音・8(第二部・義母)を先に読む
琴音・16(第三部・義父)を先に読む
琴音・20(第四部・お披露目)を先に読む
★琴音・26★
いかにも凶暴な、その分厚い姿が、どれほどの痛みを自分の身にあたようとしているのか想像すると、恐ろしくてならない。25打と言えば、さほどの数ではないような気がしても、すでに、いつになく厳しく強く打たれて腫れあがった彼女の身体が、どれだけ耐えられるのかと思うと、おぼつかない心持ちもするのだった。
だんだんに、慣れて、だんだんに、耐えられるようになっていた琴音だったが、今日の展開はあまりにも考えていたのと違い、次にはいったい何が起こるのか、分からないだけに、琴音は恐ろしくてならなかった。
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後ろに下がっていた智也がおもむろに進み出ると、じっと琴音をみつめた後、パドルを取り上げた。
琴音は急に周囲がすべて遠ざかって行くのを感じた。座に居並ぶ人たちも。天井も。壁も。床も。どんどんと遠ざかり、その存在を感じ取れなくなって行く。ぽっかりと開いた空間にあるのは四角く黒く磨き抜かれた台とその前にいる智也と自分だけ。
そしてその智也が手に持っている革の道具だけ。黒く。つやつやと光る、四角くきっちりととがった角が、禍々しい道具。
皮が掌の上に打ちつけられる。その音が琴音の何も無い世界に響く。
その音だけが。ぴたぴたと、肉を打つ、その響きだけが。
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「琴音。台に、肘をついて、足を伸ばしたまま。」
琴音は智也から、その黒い文机のような台の表面へ視線を移そうとした。これから、自分が屈み込む場所を。だが、琴音は視線を、革のパドルから外す事が出来ず、ただ息を吸い込み吐き出すことしかできなかった。
「こちら側にする?それとも向こう側?」
頭の中を質問がぐるぐると廻る。こちら側?向こう側?肘をつく場所を言ってるの?ようやく、琴音の視線がぎこちなく机の方へ移る。だが、顔はまだパドルを見つめた位置から動かせなかった。
こちら側に肘をつけば、座に向けるのは泣き顔だった。向こう側に肘をつけば、客に晒すのはつきだされた尻だ。
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どんなに意識してぴったりと足を閉じても、お尻を突き出せばすべてが丸見えになってしまう。だったら、恥ずかしくても、辛くても、顔を見られる方がまし・・・。もう、さっき、顔は一度観られてしまったのだもの。
痛みに移りゆき、歪む顔を見られるとしても。涙に濡れる叫ぶ顔を見られるとしても。恥ずかしいあそこを見られるよりはずっとまし・・・。
そう、決心しても、琴音の乾いた舌はぴったりと上顎に貼り付いて、言葉を押し出す事が出来ない。何度も唾を飲み込み。何度もためらって、琴音は震える腕を上げて、黒い台のこちら側を指差した。
「こっち側で・・・。」
智也は、うなずいて、身体を開き、琴音を移動させるべく誘った。
つづく
