2008
お仕置き・54
琴音・8(第二部・義母)を先に読む
琴音・16(第三部・義父)を先に読む
琴音・20(第四部・お披露目)を先に読む
★琴音・21★
だが、琴音が恐れていたのは人前で肌を晒すことだけではなかった。この半年、夫との間に重ねてきた愛撫と性交の合間のスパンキングが、自分の身体を興奮させるようになってきている事に、琴音は薄々気が付いていた。
痛みは、嫌で、耐えがたいものであるのに、自分から求めた事など一度もないのに、打たれれば打たれるほど、その後の交わりは熱く愛情に満ちたものになる。
義母や義父に打たれる時には、欠片ほども欲情など思い浮かばないのだが、夫に打たれると思うだけで、じんわりと、身体が期待に震えるのが分かるのだった。そんな自分を他人の前に晒すという事は、云わば、夫とのセックスを他人に見せるような、そんな恥ずかしさも覚えてしまうのだ。
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くしゃくしゃと顔をゆがめ、震える手を握りしめても、何の役にも立たない。その日はもう、すぐ目の前で、琴音は逃げ出すわけにもいかず、とにかく、みっともない真似を皆の前に晒す事のないように、ひたすら耐えるしかないのだ。
「ただ、回数がとても多いのよ。掌で100回。それから、パドルで50回。そして、最後はケインで25回。でも、心配しなくてもいいわ。すごく痛いけれど、かえって、最後の方は麻痺してしまって案外耐えられるものなのよ。それに、その回数になれば、もう、見栄や外聞なんてどうでもよくなりますからね。かえって思いっきり泣いて叫べばすっきりしますよ。みなさん、花嫁の泣き顔を見るために来てるから、琴音さんが泣き叫んでも、平気ですよ。」
ほほほ・・・と、明るく笑う義母に、何とも返事のしようもなく、震え続ける琴音の身体を、智也はぎゅっと抱き寄せた。
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夫に支えられて、何とか自室に戻った琴音はベッドの上にくたくたとくずおれた。足に力が入らず、立っている事が出来なかった。
「怖がらないで、琴音。大丈夫だよ。たった一日だ。その日はすぐ過ぎるから。」
そんな事。そんな事、まるで、他人事のように!智也さんは、自分が、叩かれる訳じゃないから、そんな事が平気で言えるのよ。裸にされるのは私。痛い目にあうのも、私なのよ!琴音は、あふれてくる思いを智也にぶつけるように、相手の腕をこぶしで打った。だが、その言葉は口から出す事は出来ない。ぎゅっと、歯を喰いしばり、涙をこらえて、押し殺そうとする。
その時、琴音は、初めて智也の瞳と、向き合った。
大事な妻を他人に、見せなければならない妬心と溢れる愛情、どこか冷静な河野家の当主としての顔、そして、それらと同居している琴音を怯えさせる加虐の喜びの暗い光。琴音が嫌がれば嫌がるほど、明確に姿を現す雄の嗜虐の欲望が、夫の中にある。
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ああ、私・・・。
捕らえられてしまっている。この男のむごい愛情に。私を痛めつけるその手に。その想いに。その欲望に。嫁いで来る時には分からなかった。痛みの意味。分け合うこの恥ずかしくも恐ろしい運命の嗜好を。
もう・・・逃げられないのだ。
つづく
