2008
お仕置き・53
琴音・8(第二部・義母)を先に読む
琴音・16(第三部・義父)を先に読む
★琴音・20★
琴音の両親と智也の両親が四人ともそろう上に、結婚式でしか会ったことのない遠い親戚の男たちに、名前を聞かされたばかりの年配の男達。そして、その妻達の居並ぶ中で、お仕置きを受けないといけないなんて、考えただけで恥ずかしさの余り、その場で舌を噛んで死んでしまいような気持ちになる。
「いやいや、そんなの絶対にいや!」
琴音は、その事を訴えようとぱくぱくと口を開けたが、言葉は恐ろしさと恥ずかしさの余り、音にならず、喉の所が締め付けらるように苦しい。何か纏い付いている者を払いのけるように右手で喉元をまさぐり、息を整えようと必死になるが、くらくらとめまいがするばかりだった。
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智也の腕が、ソファに沈んで行く琴音の身体を支えるように、回される。琴音が何を考え、どう思っているのか等、もちろん、智也に分からない訳はないのだった。小さい頃から慣れ親しみ、愛情を分かち合って来て、これからの人生を共に、と結婚した二人なのだから。
だが、それでも、智也は、琴音とは違う価値観を持っている。それは「お仕置き」が、河野の家にとって、何よりも大事な「しきたり」だと教えられて育ち、それを守って行く責任のある、次代の当主として当然の覚悟だった。
「しきたり」を、受け入れられないのなら、ともに生きる事は出来ない。智也にそう伝えられ、覚悟をして嫁いできた。そして、この半年、必死に打擲を受け入れ、その価値観に同化しようと努力してきた琴音だった。
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だが、それにしても、あんまりな事態ではないか。大事にしまいこんできた肌を晒し、痛みに耐える泣き顔を、親族ばかりか、赤の他人の男や女にまで晒さなければならないなんて。
お仕置きのために下着を脱げば、当然一番隠しておきたい場所も、どうしたって見られてしまう。義理の父ただひとりににすべてを見られた時でさえ、あれほどつらく恥ずかしかったのだ。その席に、他の人間が同席する等考えるだけで、どうにかなってしまいそうだった。
しかも、これから、ずっと親戚付き合いを重ねていく相手なのだ。記憶はどこまでも、琴音に纏わりつき苦しめるだろう。耐えられない。絶対に。琴音は、必死で智也の腕にしがみついた。
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「琴音さん、恥ずかしがることなんて無いのよ。みなさん、このしきたりの事はよく御存じなのですからね。子供の頃におしめを換えてもらうようなものですよ。」
ほほ・・・と、上品に笑う義母の微笑みを見ると、琴音はくたくたとその場に倒れてしまうような心持がした。なにを、どう訴えても、決して、決して逃げる事は出来ない。もう、それは、決まった事。動かせない事。ずっとずっと昔から変わらず、連綿と続いてきた「しきたり」で、義母もまた、それを乗り越えて今そこにいるのだという事が、じわじわと琴音を追い詰めていた。
つづく
