2008
お仕置き・55
琴音・8(第二部・義母)を先に読む
琴音・16(第三部・義父)を先に読む
琴音・20(第四部・お披露目)を先に読む
★琴音・22★
八畳の和室が三つ連なる南側の部屋の仕切りの襖は取り払われて一続きの広間になっている。そこに、会席膳を左右に20席並べた席が設けられていた。すでに、一通り酒が廻り、酒席は期待と興奮を微妙に覗かせながらも、和やかな雰囲気になっていた。
その席へ、智也に伴われて、琴音は部屋の下座から滑り入った。居住まいを直して、両手を付いて、頭を下げたものの、もう、顔を上げる事が出来ず、肩で息をするばかりだった。
かっと、身体が熱くなる。頬に血が昇り、恥ずかしさにそのまま消え入りたい想いであった。智也の手が背に掛かり、顔を上げて立ち上がる事を促していた。
必死の思いで起き上がると、男たちの顔、顔、顔・・・。そして、突き刺さってくるような女たちの視線に、琴音は、涙が盛り上がってくるのを意識した。
その瞬間、母親の姿が目に飛び込んでくる。大事に育ててくれた、その母に恥をかかせてはならない。おそらくは、娘が打ちたたかれるのを見るのは、母にとってもきっと辛い事なのだから。
身体を見られる事を恥ずかしく思う事は、この儀式を、性の儀式に貶める事。母に見せられないもののように、けがらわしく思う事。そんな考えでは、とても、母の前に進み出ることなどできはしない。これは、しきたり。河野家の大事なお披露目のしきたりなのだ。
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力の入らない脚を叱咤しながら、智也に手を取られて、席の中央を抜けて正面まで行った。一番の上座に和風にしつらえた金襴でくるまれた低い椅子が置かれている。背もたれも肘掛もない座面だけが広くしつらえられた椅子。
その横へ智也は、一旦、膝をついて座った。琴音もその横に慎ましく、控える。
「皆様、本日は、お忙しい中、私の妻となりました琴音の披露目の席にお集りいただきましてありがとうございます。河野家のしきたりに添いまして、妻の「仕置き」を皆様に、ご披露したく存じます。まだまだ、不慣れでございますが、夫として宰領訳を精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。」
智也の言葉の間、とにかくこの間だけはと、必死に顔を上げていた琴音は、夫の言葉が途切れると、急いで頭を畳に付いた両手の上に深く伏せた。智也が立ち上がり、椅子に座る。琴音は手をついたままにじりより、夫の膝の上に身体を乗せかけた。
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もう、だめだ。琴音はギュッと目を瞑った。ああ、もうだめ。どうしたってだめ。みんなに見られてしまう。お尻を叩かれる所を見られてしまう。
智也の手が裾に掛かり、布がめくり上げられる。着物をたくしあげられた後は、薄い絹の布がぺらりと一枚身体を覆っているだけだった。身体の線はすでに露わで、素足の足が畳の上を滑る。
いやいや、助けて。見ないで。誰も、見ないで。ああああああ・・・いやあああああ。琴音の気持ちを余所に、そろりと尻を撫で上げた智也の掌が琴音の身体に振り下ろされた。
ばしいいいいいいいいいいいいんん!
まるで、心を澄ませて柏手を打った時のように、部屋の中に音が響き渡り。琴音はびくんっと身体を逸らせた。
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ばしいいいん!ばしいいいん!ばしいいいん!
規則正しく、位置を少しずつずらしながら、智也の手は振り下ろされていく。一打。また、一打と。不思議と琴音は痛みを感じなかった。緊張の余りなのか、アドレナリンが身体中を駆け巡っているせいなのか。一打毎に、頭が澄み渡り、空っぽになって行く。
打たれている場所に、世界が収束されていくかのように、拡散していた意識が一点に集中してくるのが分かった。
熱い。打たれた場所が・・・。そして、身体中が。熱い・・・。琴音は身体が汗で濡れて来るのを感じながら、智也の膝にしがみついたいた。最初の50打がそうして、琴音の身体の上に打ち下ろされた。
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頃はよし、と、みたのか。おもむろに智也が裾よけをそろそろとめくり上げ始めた。熱のこもっていた足元に、冷たい空気が流れ込み、琴音ははっと息を呑んだ。覆われていた、身体が、今、晒されようとしている。
これは、儀式。お披露目の儀式。しきたりの儀式。琴音は何度も自分に言い聞かせ続けていた言葉を胸の内で繰り返した。だが、そろそろと這い上がってくる布の感触が、自分の置かれている位置と、姿を思い知らせて来る。
収束しガラスが丸くなるように作り上げられていた琴音の世界が崩壊した。一気に羞恥が襲いかかってくる。あ、あ、あ、見られちゃう。お尻を見られちゃう。赤くなったお尻。掌の痕を浮かび上がらせて腫れあがったお尻を。
いやああああああああああ・・・・。
つづき
