2008

07.28

夜の散歩


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星が無い夜だったので
灯りを持って出かけました
ひたひたひたと
足音だけが聞こえる道のり

夜はねっとりとまるで溶けかかったゼリーのように
足元に吹き寄せる生ぬるい風に
不気味に揺れる 振動する 
そこかしこに溜まっている

ゆっくりと選んで歩く
踏み石は時々悲鳴をあげる

その悲鳴は自分のもののようで
いとおしく懐かしい

今は しっかり口を閉じて
心も閉じておきます
秘密は秘密のままに
謎は謎のままに
私の痛みは私の中に

そしてあなたの痛みは 私の中に

刃物を研いでおきましょう

この道のりの向こうにみつけるかもしれない
手枷足枷につながれた人を
切り裂くための銀の刃物を






Category: 物語
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Comments

No title

ご無沙汰してます。(^^ゞ

>溶けかかったゼリー
>生ぬるい風
夜の闇の形容、とても気に入りました。
哀れで美しいうちの供血者たちを、歩かせてみたくなるような闇夜です。^^

柏木#fU3suVPo | URL | [編集]
2008/07/31(木) 06:33:57

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