2008
夜の散歩
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星が無い夜だったので
灯りを持って出かけました
ひたひたひたと
足音だけが聞こえる道のり
夜はねっとりとまるで溶けかかったゼリーのように
足元に吹き寄せる生ぬるい風に
不気味に揺れる 振動する
そこかしこに溜まっている
ゆっくりと選んで歩く
踏み石は時々悲鳴をあげる
その悲鳴は自分のもののようで
いとおしく懐かしい
今は しっかり口を閉じて
心も閉じておきます
秘密は秘密のままに
謎は謎のままに
私の痛みは私の中に
そしてあなたの痛みは 私の中に
刃物を研いでおきましょう
この道のりの向こうにみつけるかもしれない
手枷足枷につながれた人を
切り裂くための銀の刃物を
