2007
お仕置き・34
「河野のお家では、悪い事をする子供はお尻を叩かれるんだよ。」
年上の従兄弟は、やさしく微笑んでそう話してくれた。一人娘で大事に育てられていた琴音にとって、お仕置きに自分の両親が手を挙げて自分を打つなんて事は想像も出来なかった。だか、琴音から見た伯父や伯母にしても、やさしく落ち着いていて、とても従兄弟の智也に暴力を振るう様な酷いことをするなんて信じられなかった。
「兄さまも打たれたことあるの?」
「そりゃあ、小さい頃はね。」
「今は?」
「悪い事しないように気をつけているからね。」
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幼い頃に、そんな事を、おそるおそる尋ねたのも、もう、遠い昔になった。琴音は今年で22になり、大学の卒業と同時に智也と結婚することになっているのだ。従兄弟とは言っても、智也は本当は伯母の兄弟の子供で深い血のつながりがあるわけではない。
小さい頃から、憧れていた齢の離れた優しい従兄弟の妻になる事は、琴音にとっては夢のような出来事なのだ。河野の家に嫁いで行くことで、「お尻を叩かれる」という奇妙な風習をその身に甘受しなくてはいけないという運命が待っているとしても。そんな事で、智也を退けるなんて考えられなかったとしても、無理は無いと言える。
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「お尻を叩かれるのは、子供だけだと思ってたのに。」
口を尖らせて琴音が意義を唱えると、智也は困ったようにその瞳を伏せた。河野の父親は彼にとっては義理のなさぬ仲。表立って強く反発することは出来ないのかもしれない。
「琴音が、嫌なら、河野の家に嫁いでくることは無いんだよ。」
どうやら、河野の新妻にとっては、それは、避けられない行為のようだった。だが、我が身に降りかかると分ってみれば、ただ、黙って受け入れるには、あまりにも異様な風習で、琴音は不安な気持ちが次々と湧き上がってくるのを抑えられなかった。
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「どんな事をしたら、お仕置きを受けなくてはいけないの?」
智也は、本当の事を告げるのを躊躇う様に視線を宙に泳がせた。そして、ようやく決心したのか、まっすぐ琴音をみつめると、静かな声で囁き始めた。
「お尻を叩くのは、ほんとうは、悪い事をしたお仕置きじゃないんだよ。」
意外な言葉に琴音の大きな瞳はさらに大きくなる。
「かわいいお嫁さんを泣かせてその様を愛でるのが、目的なんだよ。だから、何もしてなくても、悪くなくても、難癖をつけてお仕置きするんだ。」
あまりの事に、琴音はびっくりして言葉も無かった。それでは、まるで、妻に対する意味の無い暴力と同じではないか。
「でも、でも、それをするのは、智也さんなんでしょ。だったら、無理にしなくても、したふりだけでも・・・・。」
琴音の、せいいっぱいの抗議は段々小さくなって彼女の口の中で消えて行った・・・・。
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「叩くのは、夫婦の寝室とは限らないんだ。叩くのも、僕だけとも限らないし・・・。」
琴音はびくっと椅子の中で後ずさろうとした。小さい頃から知っているとはいえ、伯父や伯母の前で、智也からお尻を叩かれるなんて、そんな恥かしいことは予想していなかったのだ。ましてや、伯父や伯母に・・・・と、考えただけで琴音には耐えられそうに無かった。
「琴音、無理しないでいいんだよ。琴音には、もっとふさわしくて優しい人がいくらでも現れると思うし。」
その言葉で、受け入れられなければ、智也の妻となれなという現実が、はっきりと分ってくると、琴音は大きな瞳に涙を溜めて、ただ、黙って首を左右に振ることしかできなかった。
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「どうして?どうしてそんなこと?」
「わからない?」
首を傾げて琴音の表情を見つめていた智也が、手を伸ばしてきて、泣いている琴音の手をテーブルの上でそっと握った。
「わからない?」
じっと覗き込んでくるきらきらと光る男の目の中でちらちらと瞬く欲望の色。悪戯っぽい笑みを浮かべ、手を伸ばして彼女の涙を拭うと、智也は、更に乗り出して、彼女の耳元に唇を近づけてきた。熱い息が耳朶に吹きかけられる。琴音は思いもかけぬ感覚に、ぶるっと背筋を振るわせた。くすぐったいような、それでいて心地よい、異様な感覚に・・・。
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「わからない?」
「ねぇ、琴音」
「琴音」
「わからないの?」
「僕は、それが好きなんだよ。」
「かよわい相手の、お尻を叩いて泣かせるのが。」
琴音は、ただ呆然と、ずっとずっと恋してきた相手の涙でぼやけて揺れる顔をみつめた。拒否することなど考えられない。大好きな相手の顔を・・・。
琴音・2へ続く
