2007
お仕置き・20
初めてお仕置きされた日の事は、忘れられない思い出となっております。メイドとしてお館に上がって一週間が経った頃の事でございました。女中頭の三木さんにご旦那様の所へお水をお持ちするように言いつけらだのでございます。お盆の上に冷たい水を入れた水差しとコップを載せて、長く暗い廊下を、旦那様のお部屋まで、慎重にゆっくりと歩き、息を整えてドアをノックいたしました。どうしてなのか、お返事が無かったので、もう一度ノックしようとした時、部屋の中からビシッ!と、いう音と共に悲鳴が聞えてきたのでございます。不思議に思った私は、何も考えず、ドアを細めに開けてしまっていました。

そして私は、そこに見てしまったのです。いつも物静かでご立派な旦那様がベッドに腰掛けられて、同僚の万里江さんを膝の上に乗せてそのお尻を叩いているのを。息を飲んで立ち尽くし、逃げ出す事も思いつきませんでした。万里江さんは色が白く目の大きな笑顔のかわいい方で、私も仲良くさせていただいておりました。その彼女が泣きながら旦那様の膝にしがみつき、旦那様がお尻を打つ度に悲鳴をあげて脚をばたつかせていらしたのです。かろうじてお盆を取り落としてしまう事こそありませんでしたものの、私は驚いてぽかんと口をあけ、驚きで頭はまっしろになっておりましたが、恥知らずにも、眼はその光景に吸い寄せられるように見つめ続けておりました。

「美由紀、覗いていないで入っておいで。」
私は、旦那様に声を掛けられるまでそこに立ち尽くしておりました。はっと我に返って、恥ずかしさに逃げ出そうと左右を見回しましたけれど、逃げても何にもならないことは名前を呼ばれた事ですでに明らかだでございました。おずおずと、ドアを開け、美由紀さんを見ないように目を逸らして、旦那様のそばへまいりました。それから、枕もとのテーブルにお盆を載せて、スカートを持ってちょこんと膝を屈める礼をいたしました。旦那様は優しい目でご覧になっていらっしゃまいしたけれど、キッパリとした口調でおっしゃられたのです。
「黙って、部屋を覗くなんて悪い娘だね。美由紀にもお仕置きが必要なようだ。」

「お仕置き」
その恐ろしい響きの言葉が、旦那様の口から述べられるとまるで甘美な物語のように、私の胸にきらきらと煌めきながら落ちてくるのが分かりました。それでも私は、お仕着せのブラウスの胸元を掴んで二・三歩後ろに下がらずにはいませんでした。そして、反射的に万里江さんの方を見てしまったのです。
お尻を赤くして、しくしく泣いていた万里江さんは、恥ずかしそうにさっと顔を背けられました。その赤く丸いお尻と同じ様な赤い頬をしながらも、流れ落ちる涙は美しく、起き上がってそろそろと身じまいをするありさまは抱きしめたいほどの愛らしさでした。

だからと言って、お仕置きが辛くないはずはないのは、これを読んでいる皆さんもご存知の通りでございます。しかも、初めてお仕置きを受けようとしている私を旦那様は館の使用人達皆に晒し者にしようと思われたようで、にっこり笑うと万里江さんに向かってこう言いつけられたのです。
「万里江、彼女のお仕置きをみんなに見せる事にしたからね。他の者達を広間に集めておくれ。」

びっくりして、私は、旦那様の前に大急ぎで膝をつきました。そして両手を組み合わせて、縺れる口で何度も謝罪いたしました。
「旦那様、申し訳ありません。お許しください。お許しください。悪気は無かったのでございます。罰を受けるのは仕方ありません。でも、でも、ああ、どうか、みんなの前でお尻を叩くのだけはお許しください。」
お仕置き・21へ
おじさんに叩かれるお兄さんのサイト♪
