2006

09.28




扉を開けたら、真っ暗だった
あなたはぽつんと座っていた
話しかけたかったけど
話しかけられなくって
隣に座ろうと思ったけど
なんだか座れなくって
だから、椅子二つ分開けて
そこに座ったの・・・・

次々と人が入ってきて
椅子は埋まっていった
私はこっち
あなたはあっち
会話を交わすのは他の人ばかり

いつのまにか
指先からゆっくりと
固まってくるのが分かる
石になっていくのが分かる
世界がどんどん灰色になって
声がどんどん遠ざかっていって

ねぇ、マスターちょっと包丁貸してくれない?
カウンターの上で左手首切り落としてもいい?

マスターは黙って包丁を貸してくれた。
Thank you  マスター
彼が来たら 
私は手首を捜しに行ったって伝えといてね
私は手首を切り落として
ベランダの窓から投げた
そして一気に階段を駆け下りた

目を開けたら
目の前に彼がいた
そして、黙って布団をかけてくれた
今夜はもう
泣かなくてもいいから と 






Category: 物語
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Comments

to 柏木さん

 (*'‐'*) ウフフフ♪
柏木さんはこの間も詩の所で引っかかってましたね。
段々と好みが分かってきたぞ。

さやか#qcCAHBlo | URL | [編集]
2006/10/03(火) 15:43:58

No title

惹き込まれるように、さいごまで読んでしまいました。
包丁のシーンもさることながら。
会話も無いままにふたりのあいだの席が埋まってゆくくだり・・・
とても印象的でした。
たまにこういうポエム、いいですね♪

柏木#K9g63Wfw | URL | [編集]
2006/10/03(火) 07:32:12

to masterblueさん

 夢というモノは時にシュールで
訳の分からない情景なのに
無性に悲しくなってしまうことがあります。
起きたら手首はちゃんとあって、ほっとしました。
どうやら探すことができたようです。

さやか#l8.vlxEY | URL | [編集]
2006/09/30(土) 00:13:59

No title

素晴らしいポエムですね。
何があったのか、何故なのかを超越して、感覚だけで楽しめました。

masterblue#XPw18Qgo | URL | [編集]
2006/09/29(金) 19:27:52

to みーくちゃん

 隣にいる人が便利なのは、うなされた時と怖い夢を見た時♪
キャンプ場で、トイレが遠い時。
(* ̄m ̄) ププッ

さやか#ZOgJoc4. | URL | [編集]
2006/09/28(木) 21:40:47

そんなとき

 そんなとき、隣にだれかいてくれるのって幸せです☆
 あまりにもリアルな夢を見たときって、どこが現実なのかわからなくなる。

 疲れてたり、体調悪いとか、夢の暗示もあるそうですが。

みーく#dPVM/Xrk | URL | [編集]
2006/09/28(木) 15:01:55

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