2006
夢の中の獣
布団の脇に置いた たらいの水で
片手で不器用に首を洗っていると
枕元に、探していた私の手首を咥えた獣がやってきた
手首をそっと肩の所に置いて
おもむろに寝そべると
ごろごろと喉を鳴らし・・・
重ねた両手に頭を乗せて
時々顔を上げて脚を舐めている
手首を見つめる目は
黄金にきらめきながら
手首と私の喉笛を見比べる
どっちがおいしいと思う?
私の獣
(お前が私の手首を噛み砕くのは見たくないなぁ・・・)
つと乗り出して手首を掴み
ソケットのようにキュキュキュって
元通りに 付けた
それから、手を伸ばして喉をかいてやると
獣は眼を閉じてなすがまま
獣よ、獣
私が苦しまないように
一瞬で
一回で
私をおくっておくれ
獣はのっそりと立ち上がり
まるで猫のようにその重い頭を
私の額に擦り付けた
