2006
藍川京
藍川先生の本は他の作家に比べると表紙がさりげないものが多かったんですけど、幻冬舎アウトロー文庫は、文庫という特徴も影響してほんとにほんとに買いやすいです!
さやかは、千草忠夫育ちですけど、最近は、藍川京先生の本を買うことが多いです。女性が書いてるせいか、切なさや恥ずかしさがうまく表現されているだけでなく、女性蔑視の表現が少なくって、抵抗を感じないでその世界に入っていけます。ぜひ、一度本屋で手にとって見てください。これなら、立ち読みもOKですよ。
夜の指―人形の家〈1〉
閉じている膝―人形の家〈2〉
紅い花―人形の家〈3〉
十九歳―人形の家〈4〉
幻冬舎アウトロー文庫 藍川 京(著)




母を亡くした高校生の小夜を、養女として引き取った高名な人形作家・柳瀬彩継。彩継には、女の秘部や恥毛まで丹念に創った生々しい“生き人形”作家・鳴海麗児という別の顔があった。「小夜に触れ、生き人形を創りたい…」同じ家に暮らしながら養父の顔しかできぬ彩継は、隣室から覗き穴で小夜の部屋をうかがうが、やがて堪えきれなくなった。
「いや…」かそけき声で小夜が言ったとき、彩継は意外だった。最初こそ全身で拒んでいた小夜だが、いつしか養父となった自分の愛撫を待っている。もう、どんな男にも渡せない…。彩継の指や口を使った「検査」は夜ごとエスカレートしていく。人形のように翻弄され妖しく揺さぶられる小夜の前に、彼女を慕う血のつながらない兄・瑛介が現れた。
自分をかばって暴漢に刺された瑛介に小夜はさらに思いを募らせた。それを知った彩継の嫉妬と執着は夜ごと激しさを増す。「私がおまえの最初の男になろう」板戸を閉めた薄暗い蔵の中、目だけをギラつかせ、ついに彩継は言った。本気だ。小夜は後じさった。抱かれるわけにはいかない。「お養父さまが私に触れたら、その瞬間、舌を噛んで死にます」。
三年が経った。あれ以来、彩継は二度と小夜を抱いていない。耐えに耐えた。漫然と男女の結合を続けるのが惜しかったからだ。二十歳になったら最高の女にしてやる、それまで、あと半年。自分の愛撫に身悶えする小夜はいっそう妖しく美しかった。もう誰も触れてはならぬ女だ―。しかし小夜の本当の魔性を知らないのは、彩継のほうだった…。「BOOK」データベースより
