2012
白昼夢4
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気がつくと、私は古いビルが作る日陰に、キャリーバックを椅子にして座っていた。辺りを見回しても、さっき入っていたはずの廃屋の病院は見つからない。何度も繰り返した、眠れない夜を埋め尽くした夢。恐ろしさに震えながら、汗びっしょりの身体を、どこもタオルケットの下から出ないように必死に身を縮めていた。誰かが、その浮いたタオルの下にある私の足を掴むような気がして。
あの病院は、私の夢のなかだけにある。
汗が引くまで、ぼんやりと、アスファルトの上に日差しが作った影が動いていくのを眺めていた。少しずつ拡がり、なにもかもをその影のうちに取り込んでいく。あの人の闇からもう私は解き放たれてしまった。もうあの人は、あの駅のマンションには住んでいない。もう私は、あの夢を懐かしむことはない。
終わったのだから。
弾みをつけて立ち上がると、腕時計を見た。大幅に遅刻してしまいそうな気がして、慌てて携帯を取り出す。「ただいま駅から歩いている途中なり。お損なってごめん。」携帯を閉じると、ガラゴロと音を立てて重い荷物を引きながら、私はまた歩き出す。曲がるはずがなかったまっすぐな道へ戻るために。目的地に辿り着くために。
そういえば、今日は、あのゴム鞭は置いてきてしまった。
この物語はあるサロンの書き方講座から生まれました。起承転結の物語の起と承の間に、サロンの執事さんが短い文章を書いてくださいます。その文章を受けて承転結を書く練習です。執事さんは、以前SM雑誌の編集をされていた方です。
この文章は、起承転結の4つの部分の長さがアンバランスであるというご指摘を受けたので、次回伺って、今度は、文章の削り方について教えてもらうことになりました。うまく行ったら、またご報告いたしますね。
ヾ(@⌒▽⌒@)ノ
画像は4枚とも、行列のできる縄師さんと呼ばれるほど、受け手にとって気持ちのいい縄をされる、エロ王子さんのブログからお借りしてきました。ありがとうございました。
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