2015
死んでいるから心配ない
山にこもってはいけません
誰にも会わず
誰にも話さず
己の内側だけを見ていたら
いつかはショートする
海に浮かべると思うのは間違いです
どこまでも自由に
波間にただよい旅をするというけれど
泳げないのだから
高波に引きずられ海の底へ
沈んでいく夕日と
沈んでいくことになる身体になりかねません
また 陸をどこまでも進めるものでしょうか
歩けば足は痛く 豆は潰れます
ああ、そう それは足に合わない靴を履いてるから
つま先を切り かかとを削り
歩けなくとも馬に乗れば大丈夫
そして爪先から赤い雫を垂らしましょうか
人は分かり合えるものでしょうか
海の向こうに愛する人がいて
あなたが帰ってくるのを待っている
あなたは土産が無いと言って
道を彷徨い 倒れつきて死ぬ
心はいつも 行き違い すれ違い
だから この手紙を受け取ってください
理解したと 返事をください
最初に戻って ルーティンしないでください
私が そんなことをすると思ってたのです か?
いや、思っていた
そして、あなたの言葉は聞こえませんでした
最初に一度 最後に一度
大事なことが書いてあっても
真ん中の文があまりに長いんですもの
だから 心を閉じないで
山にこもるよりも
海に漂うよりも
ただひとつ開いた窓を閉じたとしても
悲鳴が聞こえなくなるだけだから
聞いていなかったの?
それは断末魔の叫びで
今 私は死ぬところなのです
死んだ私は にこやかに笑う
それから 戸口のところで手を振るでしょう
だから山にこもるとか
海に沈むとか
足や手を 切り落とし始めたとしても
何も慌てなくてもいいのです
だって 死んでるのだもの
もう心配することはなにもありません
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