ほんとのこというと私はすごい寂しがり屋です。そして、大好きなSMバーへ遊びに行って、楽しい思い出を積み重ねていけばいくほど、なぜか、すごく、ひとりぼっちだなぁって思うことが多くなっていくのです。人が一人なのは当たり前のことで、すべてを分かりあえることなんて奇跡のようなことなのもごく当然のことなのです。そんなどこへも持っていきようのない気持ちを抱えている時に、ホッとする時間をくれるのが、よいさんのいる「初心」でした。

DX歌舞伎で行われる、最後の「大縄DX」に行ってきました。「大縄遊び」はもともと四谷にあったよいさん主催の「Good-studio」の利用者による縄の文化祭のようなものだったと思います。それが、出演される方々がどんどん有名になり、プロになり、世界へ進出していくようになり。それでも、だれでも、一生懸命精進しさえすれば、その舞台に立つことができる。それが「大縄遊び」です。
もしかしたら、一生に一度かもしれない。そんな気持ちが込められているからでしょうか。ひとつひとつのステージに、個人の持つあらゆる創意工夫が込められているために、個性的で独創的な縄が展開されていきます。そうすると、先を走っている先達の方々も負けてはいられません。あれやこれやで、毎年新しいことや、感動する物語が生み出されていくことになりました。そして、今では、大阪や名古屋でも行われるようになっています。
そんな光る素人さんたちが、盆の回る舞台に立ってみたいとの声に応えて、DX歌舞伎での「大縄DX」が、始まりました。

先日の日記でも書きましたが、DX歌舞伎は6月末をもって閉鎖されることになっています。だから、本当に特別の最後です。縛り手の気持ちが、受け手に伝わり、見守る観客を動かして行き、それに、縛り手、受け手がまた影響される。号泣する受け手さん続出の事態でした。普通の女性が、多くの人の前で身体を晒すほどに入れ込んでいる縛り手さんゆえの気持ちの通い合いが生み出す時間なのも、その理由の一つだと思います。
見ている私達も、ホロリとさせられたり、目が潤んできたり。「泣けちゃったよ」って、素直にうちあけてくれるS男性がいたり、今までの思い出が次々と蘇ってきたり、最後には、ほんとに泣いちゃってる自分がいたりの一日でした。
いろいろ、失敗もやらかしましたが、体験回る盆コーナーで思いがけず、盆に上がることができました。それから、演目紹介のめくりの役目を果たす看板をもたせてもらったり、ピエロの赤鼻をつけてもらったり。自分が回ってないのだから、看板を回さないと行けないのに気が付かなかったり。お客さんも、「ああ、なんかよく見かけるおばさんが、また、転んでるよ」と、笑って許してくれてありがとうございます。

生きていくことはどうにもならない現実と向き合うこと。縛られて自由にならない身体で地面に縛り付けられ、乞い願っていても手に入らない光を求め続けること。
でも、最後の大トリのショーで、生まれでた真っ白な蝶が羽ばたく、その一瞬に突き動かされた気持ちを忘れないように、この真っ赤な丸いピエロの鼻を、引き出しに大事にしまっておこうと思います。
また、初心に遊びに行けますように。そこで、もし、お目に書かれたら、おしゃべりの仲間に入れてください。