山にこもってはいけません
誰にも会わず
誰にも話さず
己の内側だけを見ていたら
いつかはショートする
海に浮かべると思うのは間違いです
どこまでも自由に
波間にただよい旅をするというけれど
泳げないのだから
高波に引きずられ海の底へ
沈んでいく夕日と
沈んでいくことになる身体になりかねません
また 陸をどこまでも進めるものでしょうか
歩けば足は痛く 豆は潰れます
ああ、そう それは足に合わない靴を履いてるから
つま先を切り かかとを削り
歩けなくとも馬に乗れば大丈夫
そして爪先から赤い雫を垂らしましょうか
人は分かり合えるものでしょうか
海の向こうに愛する人がいて
あなたが帰ってくるのを待っている
あなたは土産が無いと言って
道を彷徨い 倒れつきて死ぬ
心はいつも 行き違い すれ違い
だから この手紙を受け取ってください
理解したと 返事をください
最初に戻って ルーティンしないでください
私が そんなことをすると思ってたのです か?
いや、思っていた
そして、あなたの言葉は聞こえませんでした
最初に一度 最後に一度
大事なことが書いてあっても
真ん中の文があまりに長いんですもの
だから 心を閉じないで
山にこもるよりも
海に漂うよりも
ただひとつ開いた窓を閉じたとしても
悲鳴が聞こえなくなるだけだから
聞いていなかったの?
それは断末魔の叫びで
今 私は死ぬところなのです
死んだ私は にこやかに笑う
それから 戸口のところで手を振るでしょう
だから山にこもるとか
海に沈むとか
足や手を 切り落とし始めたとしても
何も慌てなくてもいいのです
だって 死んでるのだもの
もう心配することはなにもありません
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それはやっぱり試してみる他ないと思わなんだか?
それともつらつらと起きうることを並べては
橋を叩いて壊すことに算段していたほうがいいと?
どっちにするか迷っては・・・
どっちをも選ばないでいられるはずだと思い込み
じーっとその身を闇に潜めて息を詰めていても
最後は 息苦しさに 締め付けられて 叫んでは逃げ出す事になる
だったら、一番最初に何も選ばず
なにも受け取らずに散った方がいい
では はじめよう
よく砥いだ小刀と板の切れ端を用意して
左の小指から順繰りに
そうして木のコブのようになった自分の手を
じっと眺めてから ああ と 涙をこぼしてみる
出刃包丁は用意したのかい?
いくらなんでもその小刀では 無謀すぎるというものだから
大きなまな板と それから腰紐を一本
そんな面倒な事 今までしたことなかった
振りかぶり 振り下ろす
悲鳴は、耳の奥の巻いている白い貝殻をこなごなに砕く
ああ ああ ああ ああ
そこで夢から覚めるのが いつもの常のことなのだから
そのまま悪夢の中へ ささ もっとずっと奥へ
痛いのは 返ってくるこだまの
重なりのようなものじゃありませんかね
最初よりも だんだんと 遠く
自分の事さえも 思い出せずに
それでも 確実に 近づいてくる
そして 遠ざかる
粉々に割った橋と 白い貝殻と
そして転がり落ちた先にあった窓ガラスと
机の上に残された手首は 多分
朝になれば 消えていますって
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いつの間にかサディストはめんどくさがり
手に入れるまでは あの手この手
手に入った娘に求めるのは交合だけ
美しく飾りたてた人形にしつらえて
ただ黙々と咥えさせた後は
戒めを解かれた娘に 世話をやいてもらいたがる
いつの間にかマゾヒストはただの欲しがり
して欲しい事は いつも同じ
枠を破るのは難しく
毎日の生活は平穏なまま
愛されたいし 大事にされたい
生きていくしんどさを つかの間忘れる瞬間に酔う
綺麗ね・・・って、言われたい
すごいね・・・って、褒められたい
よくやった・・・と、認められたい
技を競い合い 見せびらかす
我慢比べの人形は ただ 宙で揺れるだけ
夢はいつも一瞬
舞台から降りたら いつもの私
いつもの時間 いつもの空虚さ
夢見ていた恐怖はどこに行ったのだろう?
毎夜繰り返し 私の憧れを塗り替えてくれた
髪を撫で 抱きしめたその腕で
私に地獄を突きつけた
あの瞬間をもたらしていた悪魔は
身を縛り付けた軛を 解き放てずに
そして少しずつ滅びていく
憧れも 夢も 現実も
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この階段を降りると別れが待っている。
分かっていたので、降りないで登ろうとした。
焦っていたので、滑った。
一番下まで最短時間で落ちた。
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