2008

06.26

眠れない夜に・・・





 子供の頃「どうして自分は人と同じじゃないんだろう。私と同じような人はいない。私は独りぼっちだ。」と、云う考えにとりつかれていました。その事がとても悲しく、孤独で、不幸な事のように思っていました。

 大人になった、今、「人と同じ」である事について、考えないといけない事が何度もありました。「同じ」である事。「違う」事。分かり合えない事。分かりたい事。分かろうとする事。
 そして「人と同じ」人なんていない。人は、一人ずつ違い、だからこそ、分かり合うのは難しく、一瞬のぬくもりもやさしさも、とても貴重な物だと思えるようになりました。

 それでも、どうしようもなく淋しい時があります。

 それは、たとえば「同じ」問題を抱えて、「同じ」言葉を持ち、「同じ」苦しみを分かち合う友達と楽しく「同じ」時間を共有した後に起こります。電車に乗り、一歩一歩遠ざかって行くその歩みと共に、離れていく距離のように・・・。人と人とは、あまりにも遠い。

 それは「当たり前」の事。「違う」って事は、動かしがたいけれど、とても大事な事。本当に大切な事。

 それなのにそんな夜は、どこにも音が無いように、まったりと溜まる動かない闇の中にいるように、空気が重い。ずっと、忘れていたこの感覚と向かい合った日は、子供に返ったように、やくたいもない理屈をひねくりまわしたりして。
 愛する人がそばにいれば、この「淋しい」は、無くなると思っていた子供の頃。苦しみや不幸が無ければ、幸せになれると思っていたあの頃。今の私はこの感覚に、どんな答えを出す事が出来るんだろうか・・・。

 せめて、手を振って、別れてきた友達が、今夜は眠れているように祈ります。ありがとう。笑顔をいつも。ありがとう。大好きをいっぱい。ありがとう。ありがとう。



Category: リアルライフ
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    2008

06.04



照明を全部落とした部屋
机の上だけついた明かりの中へ
長い手が伸ばされて
車の鍵を投げだす

曲げられた細い指
節くれだった長い指
ガチャリ・・・っと、音を立てて
少し滑った車のカギは
明かりの中で止まって動かなくなる

止まった時間
止まった想い

こごった影
こごった愛

レコードについた傷
リピートされる
繰り返し
繰り返し
繰り返し

繋がれた私は 暗がりから覗き見る
鎖の距離だけ 近づいてみても
けして届かない 触れはしない
ただ痛むだけ 胸が痛むだけ
この痛みを消して頂戴
強い嵐のような 苦痛で

繰り返し
繰り返し
繰り返し
壊れるまで
感じなくなるまで


Category: 物語
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