★クロード・4★
クロードは彼女に手を貸して膝の上から降ろすと立ち上がらせた。そして部屋の不自然に中央に近い位置にある私達の丁度足の付け根ぐらいの高さのテーブルを指し示した。
「あそこへお行き。そしてうつぶせになるんだ。」
「いや・・・。」
見開かれたカークランド夫人の瞳は、涙をいっぱいに湛え、グレイがかったエメラルドの瞳がまるでガラス玉のように光に透けて見えた。ゆっくりと左右に振られる、人形のように小さな顔に懇願と諦めの表情が同時に浮かんでいる。なにを、どうしたって、クロードの言うとおりにさせられる決まりになっているのだろう。このゲームを始めた時から、二人の間に存在する、すべてをやめるまで決して逆らう事はできないというルール。それがなければ、こういう行為は本当の言葉遊びになってしまうのだろう。だが、その決まりを作ったのはいったい誰なのか。この退廃の遊びを行う多くの女性達が暗黙のうちにそれを作り、受け入れたのではないのだろうか。今の時代、彼女達は、いつでもドアを開けて出て行くことが出来る。醜聞を怖れるのは決してご婦人だけでは無い。男にとってもこの種

カークランド夫人は震えながら前に進み。おそるおそるというように両手を伸ばしてその机の上にうつぶせた。顔を横に向けて目を瞑るその白い面は、殉教の諦めに縁取られているかのように神々しくも美しかった。
クロードはテーブルの脚に取り付けてあるゴムのバンドを引っ張ってその輪になっているところを、彼女の手首に引っ掛けた。それは非常に巧妙に作られた道具で夫人が手首を内側に向けている限り決して外れないのだ。だが、反対に手首を返して掌を外側に向けるだけで縮もうとするゴムの力から逃れる事が出来る。つまり、拘 束は絶対のものでありながら、それを選択しているのは女性の側であるという不思議なつくりになっているのだった。
クロードは彼女の腕を軽く掴み、そしてゆっくりとその手を背中に向けて移動させた。夫人は裸足の脚を落ち着かない様子で右へ左へと踏み換えた。その動きにつれて突き出したお尻が無意識のうちにもこもこと動く。スカートの中のお尻はさっきまでと違い赤く火照り、クロードの手形に染め上げられているのだった。
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クロードの手が身体の上を這い回りようやくスカートの縁までやってきた。それから彼女の下半身を覆い隠していたスカートの裾の両端を持ってめくり揚げ始めた。揚げ幕のように再び徐々に彼女の身体が現れる。息を呑み。せわしなく溜息をつくカークランド夫人の身体の震えが、彼女がどれほどの羞恥に耐えているのかを私に教えてくれた。
すっかりめくり揚げられたスカートを腰の辺りに手繰り上げると、クロードは部屋の壁に掛けてあった皮製のパドルを持って、彼女のそばに戻ってきた。その固い皮の冷たい表面を火照っている彼女の尻に軽くノックするように当てると、まるで耳をくすぐられた猫のように彼女はぶるっと身震いした。
「もう一度考えてくれないか。フィリップ。何のためにお仕置きが必要だ・・・と君は思う?」
「分からないな。さっきよりももっと分からなくなってしまった。第一、君自身が、本当にそれが必要なのかどうか、という事もよく分からないよ。いったい、君は、彼女を辱め、痛めつけたいと本当に願っているのかい?」
「うん・・・。」
クロードは答えを探すかのように辺りを見回して、それから困ったように僕の方を見た。
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「僕にはそれが必要なんだよ。夢にまで出て来る位に、その行為にこがれているんだ。それに不思議な事に、やっている最中よりも無い時間の方がその事を考え、その行為に囚われているんだ。」
「それで、君はその行為をお仕置きだと思っているんだね。相手の女性が悪い事をして、それを罰していると。」
「いや、それはどうだろう。むしろ・・・むしろ、罰したいのは自分自身のような気もするが・・・。だが、それはそんなに単純な事じゃない。そう、僕は彼女を通して知るのかもしれない。自分の罪。自分のあざとさ。神をも恐れぬその所業をね。」
「だったら、彼女はどうなのだろう。彼女は罪を犯しているのか・・・・。その贖罪を願っているのか。」
「満たされぬ想いとその身体と、自分を許さない価値観なの・・・かな。」
「それが罪だとしたら、人はみな罪びとだろう。」
「許されたいと願う。もしくは許したいと願っている。受け入れたいと。与えたいとね。」
静かに語りながらクロードはその手を伸ばして彼女の尻の狭間から太腿までを撫で下ろすと、その両脚を押し広げさせ、すべてを露にするように彼女に促した。彼女はおずおずと脚をわずかに拡げ、その姿勢のせいで、そのわずかな脚の開きだけで露に光る女性自身が私の前に姿を現した。カークランド夫人は再び大きく震え、耐え切れずに喘いだ。その足の間をクロードの手が静かに行き来する。
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「それらが皆この行為に凝縮しているのかい。」
「痛みは何をもたらすと思う?彼女に・・・。たとえば修道僧は、自らの身体を鞭打ち痛めつけるだろう。あれは、果たして何のためなのだと思う?」
「それこそが贖罪だろう。だが、贖罪と性の喜びは相容れない。君たちはこの行為に喜びを感じるのだろう?」
実際にクロードの手の動きにつれて、ひくひくと痙攣している彼女のその部分は、蜜を溢れさせながら喜びに蠢いているようだった。その快感に連れて体全体がピンク色に染まりくねり始める。本当の所、これが欲しくてこういう行為をしていると説明された方が、ずっと簡単で理解しやすい。そう、痛みが好きで痛みによって性的に感じると言われたのでもいい。そうであれば、私は理解できないまでも、その意味を許容しようと努力しただろう。
「ああ、それがね。もっとも問題なんだよ。痛みは痛み。それだけでしかない。私が本当に欲しいのは、それを待つ時間。恐れおののいて、逃げ出したさを耐えてじっと震えている時間。そして、その行為の後に恥と痛みを噛み締める時間。痛み以外のそんな時間の方なんだ。そして、その苦しみに僕は性的に感じてしまうのだよ。」
「分からないなぁ・・・・。とにかく君は変わっているよ。僕はパリでボンデージのショウを観た事があるけれど、そんな理屈なんて必要なかったよ。その場にいる者達はとにかくその婀娜っぽさと罪を味わい充分に楽しんだと思うけどね。そんな面倒な理屈をこねる事がなんの役に立つんだい。楽しみを削ぐだけじゃないか。」
「知りたいと思ってしまうのさ。なぜ、僕は彼女を打たねばならないのか。そして、彼女はなぜ、僕に打たせるのか・・・・。」
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そして、クロードはパドルを振り上げると彼女のピンク色に腫れ上がったお尻にそれを打ち下ろした。掌のなした所業がささやかな前菜でしかなかった事は、彼女があげた悲鳴からも、跳ね上がったお尻の動きからも充分感じ取れた。彼女な悲鳴を上げ、泣き、悶え、跳ね上がった。悲鳴。悲鳴。悲鳴。
「ああああ。いや!許して。許して。痛い。痛い。いたあい!」
持ち上がり落ちる彼女の腰の動きは実にエロティックで、愛らしかった。それに、踏みしめられた脚や握りしめられる拳、そして打ち振られる頭からほつれ落ちる後れ毛。そしてその頬を濡らしていく涙。痛さのあまりに、彼女は無意識のうちに腕を引っ張る。
「やあぁ・・・。クロード。お願い。もう、充分よ。お願いだから。ああ!」
どうしてなのだろう?こんな酷い目にあいながら・・・・。どうしてなのだろう?逃げようと思いさえすれば簡単に逃れられるのに・・・・。許しを請いながら、叫びながら、それでも自らの身体をそのパドルの下に差し出し続ける女性は何を考えているのか。
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私にはクロードの言葉の意味も全く分からなかった。美しい夫人が見るもいたましい暴力の元に、泣き悶える姿を見れば、全くこういう行為をした事が無い私でさえ、股間は固くなり息が速まり汗を滲ませる。そう、テーブルの上にうつぶせる彼女が脚を跳ね上げる度に、女性が最も隠しておきたいはずの花が開き、私を引き付ける。その身体を押し伏せ味わい尽くしたいという興味と欲望が膨れ上がるのを感じながらも、私は私の友人の眉を寄せた悲しそうな表情を彼らしく、そして美しいと思って見つめた。
歪んだ真珠の美しさ。まがまがしい悪魔の魅力を。
ひときわ高い悲鳴を上げた夫人がぐったりとして、どうやら彼女が高みに上り詰めた事が分かった。その高みが喜びの物なのか、苦痛の物なのか分からないままであったが。クロードはこの上なく優しい手つきでその手を止めていたバンドから、彼女の腕を引き抜いた。それからもう一度、無残に傷だらけになって腫れ上がったその丸い宮殿に優しく愛撫を与えた。夢うつつのままに彼女は呻き、明らかに感じていると分かる溜息と喘ぎを振り零した。もう、すっかり脱力しきった彼女は、その身体を男達の視線から隠そうとする素振りすら見せなかった。
ああ、この友人の傍にいる限り・・・・いつか、私自身も知ることになるのだろうか。罪と許しの仮面を被った、この甘い毒を含んだ花の蜜の味を。静かに私を見やったクロードの顔は、最初と変わりなく静かで、かすかに笑いを含んだ頬は、確かに私を誘おうとしている若い頃から慣れ親しんだいたずらっこの友人のものだった。
end.