「脚を少し開き、地面に踏ん張るようにして立つんだ」王子が命じた。パドルの打擲を受けても耐えられるように」
眠り姫は泣き叫びたかった。硬く唇を噛んではいても、もれ出るむせび泣きは、彼女の耳にひどく大きく響いた。
「眠り姫よ、眠り姫よ」王子は歌うように言った。「本当にわたしを歓ばせたいと思っているのかい?」
「はい、王子様」彼女は泣きながら答えた。必死にこらえたが、唇のわななきは止めようがなかった。
次の瞬間、彼女は最初の一撃が炸裂するのを感じた。すでに熱くひりひり燃えている皮膚に、突き刺さるような痛みが爆発したかのようだった。次の一撃は彼女が耐えられると思うよりも早く来た。そして三発、四発、ついに耐え切れず彼女は泣きわめいた。。

以前ちょっと触れた、二つ折りにされて吊るされ、さらしものにされるシーンが出てくる小説「眠り姫」をご紹介します。
「眠り姫」
1、眠り姫、官能の旅立ち
2、眠り姫。、歓喜する魂
3、至上の愛へ、眠り姫
映画「インタビューウィズヴァンパイア」の原作者で、ヴァンパイアクロニクルズシリーズで世界的に人気の高いアンライスが「自分が読みたいと思うエロティックな本がなかったから書いてみた。」というエロティカ三部作です。アンライスのフアンの期待の嵐の中刊行され、後に「エロくない。」として、ずいぶん酷評されました。
物語は、眠り姫が王子に助け出される所から始まります。しかし、この王子様はサディストの王家が近隣諸国の王子や王女を○隷として預かるという、大SMハーレムを持っている王国の王子だったのです。眠り姫はこの王子にその国へ連れて行かれ○教を受けます。
しかし、眠り姫は王子の予想を越えて開花し、自ら反抗による懲罰を受けて村へ○隷として送られる道を選びます。しかも最後はスルタンの国へさらわれて行き更なるマゾヒストとしての成長を遂げるでした。
・・・なぜ、この作品が日本のアンのファンである少女達に受け入れられなかったのか?まず全員が常に裸で生活していることが、退廃美を期待していたアンのファンにとっては、肩透かしだったのでしょう。それから、パドルによるスパンキングが追い討ちをかけました。「いつもお尻を赤くしているヒーロー、ヒロインなんて幻滅よ。」というわけです。
それから、ハーレム集められた王子達のマゾ&ホモぶりが、あまりにもあっけらかとんあたりまえのように書かれ、ゲイならいいけどホモは嫌という乙女の感覚を直撃!そして、ダメ押しが公開懲罰や下僕の共有や馬車馬としての生活等・・。羞恥心のないポルノとして、ちっとも「エロくない。」という酷評を招くことに・・・。
アメリカではこの作品はヴァンパイアクロニクルズを上回る人気となっています。私もアメリカのサイトのサンプルを拾いに行くとあまりにも羞恥心のないあっけらかんとしたポルノにげんなりとすることもしばしば。こういうところには、国民性が強く現れているのではないでしょうか。
さて、ここに「経験のないことは想像できない事に気がつかない」という事実があります。マゾヒストとしての感覚。サディストとしての感覚。そして、一般常識と自分の体や心が感じる快感との乖離ゆえの葛藤。そういう事を知っている人間が読んだときに、この小説はまったくべつの姿を表してきます。
もしあなたが、永い眠りから覚めたとたんに、今までの美しい服を着て国でただひとりの大切な姫としての生活を捨て、衆人環視の中に裸をさらすように言われたら?胸を張り、手を首の後ろで組んで性器や胸を隠してはいけないと言われたら?主人を喜ばせるために、見知らぬ村人の前で床を這い、パドルで打たれ泣き喚き、思わず開いてしまった脚の間や赤く傷ついたお尻をさらすように求められたら?脚の間の欲望を主人が求めるとき以外はけっして満たしてはならないと言われたら?そしてそういう辱めや苦痛や屈辱をそのようには感じないで、主人を喜ばせることが至上の喜びと思うように命じられたら?
眠り姫は自分の置かれた状況を考え、とてつもない震えが体を走り抜けるのを感じていた。こんな風に手足を大の字に広げられ、すべての人々に余すところなく見えるように_しかも望みさえすれば彼女の顔まで展示されていることを思い、むせび泣きを押さえるために必死に唇を噛んでいなければ鳴らなかった。彼女の髪ですら顔の両側に長く流れ落ち、体のいかなる部分をも隠す助けになってくれなかった。
「哀れな、いたいけな娘よ」灰色の髪の男が囁いた。「お前はたいそう脅えているが。そんなことをしても意味はない」その声にはわずかながらも温かみが感じられた。「そもそも恐怖とはいったい何だろう?それはおまえ自身のためらいがもたらすものなのだ。お前はなおも抵抗する方法は、逃れるすべはないかと探している。そんなものはありはしない。だからそのように手足をこわばらせてはいけない。そんなことをしても無駄だ]
もし、あなたが、強くゆるぎなく支配され命令されたいと思っている時に、主人が恋や傲慢さにくらまされて、それを成し遂げられなかったら?支配される喜びと支配する喜びが交錯して、自分がいたぶっている○隷の感じている喜びに嫉妬を感じたら?無理やりに押し付けられた○隷としての生活を突然に「今日で終わり、また、元のお姫様に戻りなさい」と、言われたら?
さあ、本屋へ行ってこれらのいろいろな疑問に眠り姫の登場人物たちがどういう答えをだすのか、ぜひ読んでみてくださいね。